初夏の庄内地方(山形県)ひとり旅。鶴岡市のあつみ温泉にある「かしわや旅館」に泊まった翌日、酒田市を観光しました。はじめに向かったのが、土門拳写真美術館。
土門拳写真美術館は、酒田市出身で昭和を代表する写真家、土門拳(どもんけん)の全作品(約13万5千点!)を収蔵している、日本初の写真美術館です。
1983年に開館し、「古寺巡礼」「ヒロシマ」「筑豊のこどもたち」などの写真集に収録された作品がテーマごとに展示されています。建築家の谷口吉生が設計した建物や、中庭にあるイサム・ノグチの彫刻も見どころとなっています。
実は土門拳という方を知らなかったし、写真に詳しいわけでもないんですが(^-^;、グーグルマップで見つけて訪れたら、写真はもちろん建物や湖の景色も楽しく見ることができました(戦争や貧困に関する作品は違ったけど)。土曜でも自分のペースでまわれたのも良かった。
土門拳写真美術館へ

土門拳写真美術館は、酒田市の飯森山公園内にあります。前には白鳥湖(別名「拳湖」と言うらしい)が広がっています。

着いてすぐは曇っていました。

入口はこんな感じ。右側に、重厚感のある扉があります。中に入り、受付でチケットを購入。入館料は、一般900円、高校生450円、小・中学生無料。特別展開催中はもっと高くなるよう。

日本のグラフィックデザイナーの第一人者という、亀倉雄策(かめくらゆうさく)の銘板。土門拳記念館から土門拳写真美術館に呼称が変わる前からの。


土門拳に関するDVDが流れるエントランスホールを進み、展示室へ。
「The LOVE-土門拳が撮った愛-」

訪れた時の展示は、「The LOVE-土門拳が撮った愛-」。「好きなものしか撮らなかった写真家」と称されてきた土門拳の作品を、愛をテーマに展示したもの。
館内は撮影可なので、展示作品のうち自分が気になったものをスマホで撮ってみました。立派なカメラを持ったお客さんが多くて、私もマイカメラが欲しくなりました(笑)

主要展示室はこんな感じ。余白が広いというか。作品をゆっくり見ることができました。
戦後、1950年代の子どもたち



子どもたちの笑顔は今も昔も変わらず、無邪気で可愛い(^-^)

東京・下町の子どもたち。「三丁目の夕日」の世界。
土門拳が最も愛した、室生寺(奈良県)

戦中から全国各地を巡り、古寺や仏像を撮り続けたという土門拳。「古寺巡礼」は、それらの写真集だそう。
「ぼく自身は蝉時雨の降るような青葉の室生寺が一番好きである」という書が展示されていました。

平安時代前期に建立された金堂を見上げた写真。女人禁制の高野山に対し、室生寺は女性の参拝を受け入れてきたため、「女人高野」と呼ばれたそう。
他にも、岩手の中尊寺金色堂や、京都の平等院鳳凰堂など、有名なお寺を独自の感性で切りとった写真をたくさん見ることができました。



穏やかな口元ながら、冷徹な感じも受けるお顔。スフィンクス、モナリザと並んで世界の三つの微笑像(アルカイックスマイル)と言われているそう。

足!これは、自分の足に似ているから撮ったという話もあるとか。
戦後のドキュメンタリー写真集「ヒロシマ」「筑豊のこどもたち」
被爆者の手術現場や傷痕、日常生活などの写真を収録した「ヒロシマ」や、炭鉱閉山で貧困にあえぐ福岡県筑豊エリアの人々の写真を収録した「筑豊のこどもたち」。どちらも、「古寺巡礼」と並ぶ、土門拳の代表的な写真集だそうです。
「ヒロシマ」の写真は悲しくなったり、被爆後もたくましく生きる人々の姿に感動したり。自分で撮るのは何となくためらわれて。やはり胸に迫るものがあり…

これは「筑豊のこともたち」から。説明を読んだ後だからかもですが、大きい子どもや大人の表情に、行き詰まった感じを受けました。

児童相談所に来た?子の写真。昔は虐待という言葉もなく、想像を絶する環境で育った子も今より多かったんだろうと。
戦中の国策的な写真
戦中に撮影された、戦争支持のプロパガンダ的な写真も展示されていました。


土門拳は、戦中の反省から、戦後ドキュメンタリー写真を撮るほうへ向かったという説明もありました。
戦後の微笑ましい写真も
重い(でも大切な)テーマの写真のほか、微笑ましく感じる写真もあったので最後に。


戦後の明るさを感じられました。
館内いろいろ

主要展示室を出てミュージアムショップを見てから、さらに奥へ。

廊下を進み、中庭を見ると、

イサム・ノグチの彫刻「土門さん」。
廊下の突き当たりを右に曲がって行くと…


白鳥湖(拳湖)を目の前にのぞむスペース。反対側には、

窓で切りとった庭園の風景を眺められるスペース。華道の家元、勅使河原宏が初めて作った庭園だそう。座ったところから見える、緑と石の割合が絶妙。
あと、見逃してしまったのが、入口近くにあった草野心平(福島県出身の詩人)の銘石「拳湖」。帰ってからHPを見て気づいた(^-^;
土門拳写真美術館は、銘板(亀倉雄策)、中庭の彫刻(イサム・ノグチ)、庭園(勅使河原宏)、銘石(草野心平)など、土門拳と親しかった芸術家たちの協力を得て完成したことがよく分かりました。
まとめ
土門拳写真美術館のポイントは…
- 山形県酒田市出身の昭和を代表する写真家、土門拳のさまざまな作品をテーマに応じて展示
- 特に、土門拳のライフワークだった「古寺巡礼」の作品に引き込まれた
- 土門拳と深い親交のあった芸術家たち(亀倉雄策、イサム・ノグチ、勅使河原宏、草野心平)が寄贈した作品も見られる
- 建物は「ミュージアム建築の名手」として知られる建築家、谷口吉生が設計。直線を多用した洗練された建物。
- 土曜の午前中に訪れたが、人はまばら。自分のペースでゆっくり鑑賞できた。
といったところ。来て良かったです(^-^)室生寺や中宮寺など、行ってみたい場所が増えました。
白鳥湖(拳湖)のほうにまわったら、建物の全体がよく見えるみたいなので、行った方が良いですね。私はそれもうっかりスルーしたので汗
土門拳写真美術館 基本情報
- 住所 山形県酒田市飯森山2-13(飯森山公園内)
- 開館時間 9時~17時(入館は16時30分まで)
- 休館日 4月~11月は無休、年末年始休館、12月~3月は毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日が休館)
- 入館料 一般900円、高校生450円、小中学生無料。特別展の期間中は一般1,300円、高校生650円、小中学生無料。


コメント